2020年、ひなあられの月。

2/7
2866人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
2020年3月5日 初出版で終わりを悟り、不器用シリーズの最終話としてイノセントキスを連載していた話の続きです。 あくまでも読者さんと私の同好会的に連載しているものでしたが、半年ぶりのお電話。 とてももったいない話だとは思ったのですが、旧版不器用が売れていないだろうなという自責の念と、自分の好きにストーリーを仕上げたいという思いから辞退させていただきました。 そうして連載を続け、いよいよ終盤という時に、再び社長さん(当時)がご連絡をくださったんです。篠田とくっつく今のパターンでいいよ、と。 正直、イノセントキスは売れ筋ではありません。 身近とはいえないバリキャリヒロイン、御曹司でもスパダリでもない年下ヒーロー、萌え要素いれず。紗衣とは違うバリキャリのもう一つの生き方を描いた、我が道を行く地味作品。 話が脱線しますが、出版社さんがどうやって作品を選ぶのか、クリエさんから訊かれ困惑することがあります。私にもわかりません。 数時間にわたり打ち合わせをしていても大半は自作のことか私生活の雑談、恋愛観などの議論で、他の作品のチョイスに関することはお互いに絶対に触れないマナーが暗黙にあります。 癒着を疑われることもありますが、実際は守るべきところは一線を引いたものです(なぜ自分が機会を頂いているのかも理由がわからない)。 仕事を続けるうえでも、作品に集中するためにも、大切なことではないかと思います。 だから「なぜあの人の作品が選ばれないのか!」と聞かないでもらいたい…知っていて答えないのではなく、本当に知らないんです。 話は戻り。 一回目に辞退した時に運営担当氏にもその旨を連絡したのに伝わっていなかったらしく、ここからは社長さんと捨て身になった私のバトルの末、二冊目が生まれました。 何をバトルするかと言うと内容の事細かなことですが、素人は黙ってろと言われても今回は黙りませんでした。。 ただ、書籍を出す中で学んだのは、絶対に譲りたくないポイントのために、他を譲ることです。私たちはやはり素人です。自作を信じすぎる作家には出版側も手を焼くのではないかと思います。お互いに相手への信頼を姿勢に見せながらベストの着地点を探せたらいいなと。 下手、売れない、などということは耳にタコができるほど言われましたが、結果的に私にはそれがよかったのではと思っています。自分は駄目だという自覚が私の推進力になっています(Mなので)。 そしてイノセントキスの後はまた静かなエブ生活になったのですが、バリキャリものに少々疲労していた私は引退する前に「バリキャリでない、展開がコッテコテの娯楽作品を書きたい…」と考えました。 ヒーローは非イケメンで胡散臭いキャラばかりにしたい、王道とは逆にいきたいわと思って始めたのがダブルプラチナです。 これもまた完結間際の突然の電話から書籍に(またピンチヒッターだったのかな…) 次の「雪華」からは前もって確約で作品を書くようになりました。 何回も終焉を迎えながら、こうして機会が細々と繋がり、今に至ります。 何が言いたいのかわからなくなりましたが(笑)、泥臭い生い立ちでも続けきてよかったなと思います。 社長さんとは雨降って地固まるというのか、詰り合える良き「くそばばあ」「くそじじい」です(同い年なので)。社長に罵倒されなかったら頑張らなかったですし、急かされなかったら辞めていました。なので恩人です。 今は仕事で関わることはありませんが、これからのご活躍をお祈りしております(綺麗にまとめた)
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!