ZERO物語

2/2
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
  「遅刻だぁぁぁぁぁっっ!!!」 今まさに、朝っぱらということも鑑みずに近所迷惑甚だしい大声を上げている1人の少女。 彼女の名前は犬飼嶺子(イヌカイ ネコ) 花の高校一年生である。 Q『何故食パンをくわえた状態で大声が出せるのですか?』 A「努力の賜物です(キリッ」 だ、そうだ。 『努力の方向を間違っている』と思った人は極めて正常な思考回路の持ち主なので安心していい。 ──さて、それはそれとして。 ここで1つネタバレをしよう。 この数分後、彼女は『死ぬ』。 4tトラックに轢かれて、即死。 日夜全国区で発生している事故の中でも比較的稀な死に方と言って過言は無いだろう。 とにかく、彼女は死ぬ。 これは決して避けられぬ『結末』であり、決定事項なのだから。 『この世界での彼女』の物語は、ここでゲームオーバーだ。 これから語る話は、彼女が事故で亡くなる1週間前の出来事。 8月25日、蒸し暑い真夏日。 夏休みも終わり間近のこの日。 ある少年と出逢った日の物語を、語っていくとしよう。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!