case1-part1

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そんな突然の声のほうに振り向くと、にやにやとほくそ笑んでいる女が立っていた。 「ほくそ笑んでるって…。私そんな顔してないわよ」 自覚症状無しとは…。こりゃ重症だ。 「重症って…。うそ、ほんとに?え、ほんとに?」 なにを狼狽えてるんだ。冗談に対して。 それでも神様か?しっかりしろ。 「そうね、すこし取り乱してしまったわ。ってなんで私が神様だって知ってるのよ!?」 いやいや、こんな状況で現れるやつが神様以外のほかに誰がいるんだよ。 「まあ、そうかもね。っていうかあなたいやに冷静ね。こんな状況なのにまったく取り乱さないなんて、あなた死んだのよ」 そうだな、俺は死んだ。信号無視して突っ込んできたトラックに引かれてな。 確かに、引かれる直前は怖かったぜ。これからぐちゃぐちゃにされて死ぬんだなって考えたらな。 そもそも、俺は死後の世界なんてまったく信じてなかったしな。死んだら俺の意識はどうなるんだろうなって思ったりもした。 だけどな、それと同時に期待感もあったんだよ。 俺は死後の世界は信じちゃいなかったが、死後の世界を夢見てはいたんだよ。
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