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そんな突然の声のほうに振り向くと、にやにやとほくそ笑んでいる女が立っていた。
「ほくそ笑んでるって…。私そんな顔してないわよ」
自覚症状無しとは…。こりゃ重症だ。
「重症って…。うそ、ほんとに?え、ほんとに?」
なにを狼狽えてるんだ。冗談に対して。
それでも神様か?しっかりしろ。
「そうね、すこし取り乱してしまったわ。ってなんで私が神様だって知ってるのよ!?」
いやいや、こんな状況で現れるやつが神様以外のほかに誰がいるんだよ。
「まあ、そうかもね。っていうかあなたいやに冷静ね。こんな状況なのにまったく取り乱さないなんて、あなた死んだのよ」
そうだな、俺は死んだ。信号無視して突っ込んできたトラックに引かれてな。
確かに、引かれる直前は怖かったぜ。これからぐちゃぐちゃにされて死ぬんだなって考えたらな。
そもそも、俺は死後の世界なんてまったく信じてなかったしな。死んだら俺の意識はどうなるんだろうなって思ったりもした。
だけどな、それと同時に期待感もあったんだよ。
俺は死後の世界は信じちゃいなかったが、死後の世界を夢見てはいたんだよ。
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