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「えぇ…先ずは.
グレイバー砦を無血で通れるように致します」
ズィッと身を乗り出したままのダモンを再度確認したクレイツは会話を続ける
「それに.グラデンカ王国王家に通じる"秘密通路"を教えます」
まるで.どうだ?
と、言わんばかりの提案にダモンは身を乗り出していた身体をグイッと
引っ込める。
「…何か裏があるのでは?
例えば.狭い道に誘き寄せ王国軍と挟撃…とか
貴殿の話は些か信じるには無理があるぞ?」
ここで一つ
ダモンの性格は、慎重.
疑り深い.神経質.
そんな男を手懐けるのは
"クレイツ"にとってある意味強敵であった
「裏なんてありませんよ
ただ.どうしても信じて頂けないのであれば…
共に戦場を駆け巡ろうではありませんか?
勿論.我々が先にグラデンカに攻撃を仕掛けても宜しいですよ?」
クレイツのこの言葉は
正に諸刃の剣であった..
グラデンカ王国に攻撃を仕掛けている最中.
後ろから帝国兵に斬られる危険
グラデンカ王国に攻める時にグレイバー砦を奪われる危険etc.
むしろ.帝国に取って"美味しい"事だらけであった
「この案件は私一存では決められぬ…
帝王に提案をしてみるが結果はどうなるか分からぬぞ?」
ダモンは腕を組みながら答える.
「えぇ.勿論です
良い返事を期待しておりますよ将軍閣下?
って…
もうこんな時間ですか
貴重な時間をありがとうございました」
ペコリッ…と、会釈しながら笑みを浮かべるクレイツは.
そそくさと退散しようとするのだった…
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