第1章 生憎

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とてつもない吐き気と嗚咽[おえつ]を繰り返す!! かと思うと、全身が激しく痙攣をはじめ、筋肉が硬直し海老反りとなり、口から大量の泡を吹く。 目が見えなくなり、耳も聞こえなくなる。 すると一瞬にして痛みすら感じない世界に入っていった。 もうなにも感じない。 わたしは完全に虚無の世界に陥ったのだ。 わたしは死ぬ。 終わったんだ。 助けくらい呼ぶべきかなと今更に思う。 例えば、どうやって。 というか誰に? 誰に助けを呼ぶのよ。 わたしは誰に助けを求めたらいいのか分からない。 家族? 友達? まさか髪木はありえないでしょ。 分からない。 誰も思い浮かばない。 わたしはこんな孤独のなかで死ぬの? ほんと、つらいな。 つらい終わりかた。 こんなにわたしの人生報われないんだ…………。 生まれてこなきゃよかった……………。 『我が憑り代となり、天八咫祖命と名乗るがよい』 ! だれ? 「〇Å∽#£*!!! 「………飛鳥様!! 「飛鳥様!!」 あれ。 わたし………死んでないの? なによそれ…………。 ………ほんと笑える。 どういうことよ………。 あれだけ苦しんで、覚悟もしたのに。 わたし生きてるの? なんか馬鹿みたい。 「もう大丈夫だよ。起きて飛鳥様」 耳が聞こえる。 ゆっくり瞼[まぶた]を開いてみる。 「あっ、飛鳥様、目が醒[さ]めたみたいだね。よかった。さぁ起きて。これを飲むんだ」 髪木がわたしの顔をのぞき込んでいた。 目も見えるみたい。
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