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案の定。
そしてきっとコイツ自身も人間ではないのだと思う。
「だけど、半分は人間だよ。半分は人間じゃないもので半分は人間そのもの。だからと言うと変かもしれないけど、飛鳥様はまだ生きてるよ」
そうなんだ。
わたし、生きてるんだ。
でもあまり嬉しくない。
むしろ残念な気もする。
「半分が人間なら残りの半分はなに?なにかヤバいものなの?」
「分からない」
「は!?なにそれ。あんたはわたしに何か教えてくれるんじゃないの?」
「だからそれを今から飛鳥様に訊いて確かめるんだ」
「なにをよ?」
「聞こえたはずだよ。飛鳥様が気を失ってるあいだ、だれかの声が飛鳥様の名を囁[ささや]かれたよね?」
「そう言えば」
「その名を僕に教えて」
「分かった。えっと、こんなこと言われたわ。『我が憑り代となり、天八咫祖命と名乗るがよい』って………」
「天八咫祖命…………。
「!!!!そ、それは、それは本当なの!?本当にそんなこと言われたの!?
「聞き間違えじゃなくて!?本当の本当にそう言われたの!?」
髪木は体を乗り出して激しく取り乱し、尋常ではない眼差[まなざ]しでわたしを見る。
まるで、死んだ人間が生きかえるところを目撃したかのように、中身のない鋭い眼差しがわたしを突き刺す。
それは単に驚愕というものだけではなく怯えをも思わせるそんな表情で、わたしはただ言葉を失う。
「有り得ないよ。有り得るはずない!!そんなのあの時には混じっていなかった!!なんでだよ!?なんでそんなものが入ってるんだよ!!」
「そ、そんなのわたしは知らないわよ!!そう言われたんだから仕方ないじゃない!!」
「生きてられるはずないよ!!そんな大御神[おおみかみ]の存在に入られてしまって無事でいてられるわけない。そんらそこらの器じゃ一秒と持つはずないのに」
「ちょっと待って!!なに言ってんのかさっぱり分かんない!!どういうことなの!?大御神ってなに!?器ってどういうこと!?ちゃんと説明して!!」
髪木は本当にパニック状態だ。
取り乱してるどころの話じゃない!!
髪木の顔は完全に青ざめていて、全身がガタガタ震えてる。
驚きは完全に恐怖に代わっていた!!
「ねぇ!!髪木!!落ち着いて!!落ち着くのよ!!なにに怯えてんのよ!?わたしの中に一体なにが入ってんの!?教えなさい!!」
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