第1章 生憎

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どう考えても今の状況は最悪だ。 確実にタイムリミットがすぐそこまで来ている。 「よく聞いて!!さっき半分人間で半分そうじゃないって話したよね?もうなんとなく分かってると思うけど、人間じゃないあとの半分は神様なんだ!!」 「え!!」 全然分かってなかったんですけど。 「それも大昔の日本中全国に名を馳せていたとんでもない神様がいま飛鳥様に憑いていて、しかもその神様は人や物に癒しを与えることで有名な神様なんだよ。 「そして飛鳥様は自分の一部をその神様に住まわせてあげてる状態でね、だからいまの飛鳥様にはその力を使わせてもらう権利があるんだ。ただ、それは神様にお願いごとなんかするようなものじゃなくて、自分自身でその力を神様から引き抜かなきゃならないんだ。いまさっき僕の首をはね飛ばしたように」 「なるほど。こんな忙しいときに長々とした説明をどうも。つまり力を使いすぎたりすると取り返しのつかないことが起きるってことよね」 「違うよ。力を使いすぎてもただ早く治るだけだよ。問題なのは治癒能力と間違って破壊能力が出てきてしまうことで、力を集中させるところは手のひらじゃなくて手の甲だよ。意識は手のひらに集中させるけどね」 「はあ!?なんでそんな複雑なのよ」 でもそんなこと言ってる暇はない。 タイムリミットは確実に目前にきているのだから。 わたしは言われた通り、髪木の首に当てた手を力で満たす。 その力は手の甲に集中させ、意識を手のひらに持っていく。 すると、すぐさま手のひらのところで明るいサファイア色の光が輝きだした。 「よし、なんとかなりそうよ!!」
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