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これなら何とかなる。
そう思った矢先、髪木が慌てて事を訴える。
「駄目だ!!すぐに止めて!!」
「えっ!!なんで!?」
「いいから早く!!」
「わ、分かったわ」
わたしは素早く手をどかす。
「えっ!なにこれ!!」
「どうなってる!?」
「首のところにいっぱい緑色のブツブツが……」
「そうか。やっぱり駄目みたいだ。飛鳥様!!今すぐ僕の携帯を持って逃げて!!飛鳥様が危ない!!」
「ちょっと何言ってんのよ!?危ないのはあんたでしょ!?わたしがなん………で……」
今回は瞬時に理解した。
「これは………」
首のところに出来た緑色のブツブツが急速に脚のところまで広がっていって、まだ繋がっていなかったはずの首が繋がり、髪木は全身をうねらせる様ににょろっと立ちあがったのだ。
「ヤバイよ僕。ヤバすぎる!!──飛鳥様、僕の意識があるうちに早く、なるべく遠くに逃げるんだ!!そして僕の携帯を使って嗣瞑[しめい]って人に電話をかけるんだ!!」
「分かった!!でもあんたの携帯は今どこよ!?どこにも見あたらないじゃない!!」
「…………」
「髪木?」
髪木の反応がなくなった。
って、全然意識もってないじゃない!!
そして、髪木の体がわたしに向かって歩き始めた!!
「に、逃げないと。でも、携帯は!?髪木の携帯はどこ!?」
見渡す限り携帯なんかどこにもない。
わたしはあとずさりしながら髪木の体と距離をとる。
すでに髪木に表情はない。
わたしを追うためだけに眼球を動かし、無造作に口を開閉させている。
わたしを食べるつもりだろうか。
とにかくわたしは狭い部屋の中、携帯を探しながら必死で逃げ回る。
髪木の体の動きはゆっくりで一向にこれ以上の変化が起きる様子もなく、なんとかこうしていられる。
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