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「夜流!!」
誰か入ってきた。
女の人の声だ。
髪木の知り合いらしい。
「しまった!!遅かったわ!!」
するとその人は人間技とは思えない速度で髪木のところまで来、手を髪木の体に触れて口を素早く動かす。
そしてその直後、髪木の全身を覆っていた緑色のブツブツが一瞬にして退いていき、状況を読むひまもなく完全にそれは消え去っていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
くっついていた髪木の頭が再び転げ落ちる。
意識はまだないままだ。
「え!!首が取れた」
「えっと、それは……わたしが………」
「あ、あなたがやったの?………そう。あとでしっかりこの子から話を聞かせてもらおうかしら。それよりあなた大丈夫?どこか怪我はしてない?」
すごく優しい声だった。
そして、きっとわたしは助かったのだ。
実感もなにもないままわたしは救われたのだ。
そう思うと瞬くまに全身の力が抜けていく。
その人はわたしのそばにしゃがみこみ、わたしの頭を撫でる。
「肋骨が折れたみたいで………」
細かく震える声は見ず知らずの彼女へとどく。
「うん、苦しかったのね。でももう大丈夫よ。ちゃんとすべて終わったから、安心して。すぐに私が治してあげるから痛みはすぐに消えるから」
そう言うとわたしの胸に手を当て、さっきわたしがやろうとした回復術らしきことを始める。
すると彼女の手からは水色の落ちついた柔らかい光が輝き放たれる。
痛みがすごい速さで退いていくのを感じる。
もう片方の手はいまもわたしの頭を撫で続けていた。
それもなにかの術だろうか、驚くほど心が安らいでいく。
また、そうしているうちにも髪木の体はつぎつぎ元の状態に回復していっていた。
「安心して郡山さん。もう全部終わったのよ。
「あなたはほんとよく頑張ってくれた。こんなボロボロになってまで必死に助かろうと頑張ってくれた。だからもういいのよ郡山さん。そんなこわばった顔はもうやめて、あなたの優しくて可愛いらしい顔を私にみせてちょうだい。
「ねっ」
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