第2章 番いの弱者

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「取り敢えずお2人さんには私の家まで来てもらおうかな。そこでお話しましょう」 狛姓 馨[こまかばね かおる]さんは言う。 すでにわたしの怪我は完治し、髪木の状態も回復したようで平然と立っている。 「髪木、なんでもいいからちゃんと言い訳を考えておきなさい。ろくな説明が得られなかったときには相応の罰則があると思ってちょうだい」 「……………」 狛姓さんは見た感じ30歳前後ってところだと思う。 身長はわたしよりかなり高く、具体的には185㎝近くもある。 髪は短く金髪で、結構ボーイッシュな雰囲気が出てるが、わたしに対しての振る舞いは優しい大人の女性って感じで、髪木の場合はこれから『優しい』の単語を抜いたものだと思う。 「じゃあ郡山さん行きましょうか。髪木はちゃんと鍵閉めてくるのよ」 「あっ、はい」 髪木は返事をする。 狛姓さんは仕事仲間と言っていたけれど、髪木との間は上司と部下といったところだろう。 特に力関係に至っては、だだっ広い大きな格差が感じられる。 わたしが助けてもらった時のことを思い出してみても、狛姓さんの部屋に入ってからのこと、正確で無駄のない的確な動きがその全てを語っている。 誰がみても分かるだろう、この人は本物なのだと。 プロなのだと。 ただ、それが何のプロなのかはわたしには分からない。 わたしたちは髪木の部屋を出ると階段でアパートを下りた。 初めてこのアパートの外観を見るわけだけれど、建物の中の状態にくらべて意外に古い佇まいをしていた。 2階建てで80年代ものだ。 髪木の部屋は2階である。 部屋番号は202。 両方の隣部屋に住居者は入っておらず、壁をぶち破ってしまったことによる怪我人の発生は可能性的になかったということで運は付いていたのだった。 「どうぞ、郡山さんは助手席に乗ってちょうだいね。髪木は後部座席よ」 「あの、あたしも後ろで構いません」 「まぁ、いいじゃない。遠慮しないで。郡山さんとは色々お話したいの」
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