第2章 番いの弱者

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そうだ。 明日も平日なのだから、ある程度考えておかなければならない。 あのようなことがあった翌日に平然と登校なんてどう頑張っても無理だ。 わたしにはしっかりと気持ちを落ち着かせるだけの時間が必要になると思うし。 なにより、わたしの体がもはや人間でなくなっているのだから、安易に人と接触をするわけにもいかない。 わたしの中にいるという天照大御神とやらが何をしでかすか分からないし、わたし自身も最後まで馨さんの話を聞き終えるまで外にでたいとも思わない。 いま一番心配なことは周囲への悪影響である。 「うーん」 とはいえ、これを心配などと言えるのか分からない。 というのは未だにわたしは度を超して冷静だったからだ。 本当のところ心配なんてしていないのかも知れない。 いまのわたしの考えは人間には不可能な領域の冷静さから導きだされた結論だと思う。 普段のわたしがそのような考えにたどり着けるはずがない。 『わたしは既に普通の人間ではない』 これだけで普段のわたしなら十分に絶望へ陥れることが出来るだろう。 絶望に陥った人間は明日の計画を立てないのだ。 なのに明日のことを考えられる。 なのにそのわたしを恐いとさえ思えない。 人間にとって冷静すぎるというのも問題があるのかもしれない。 端的に言ってしまえばただの狂気なのではないだろうか。 「もちろん学校は休んでもらうことになっちゃうのよね。学校のことなら私に任せておいてくれたらいいから。あと郡山さんの家のことも。 「郡山さんはそっちのベッドルームで寝てちょうだい。髪木はソファーに寝かすから心配しなくて大丈夫よ」 わたしは少し冷蔵庫のなかのもので腹ごしらえしてからベッドルームに向かった。 といっても冷蔵庫にはソーセージと竹輪くらいしか入っていなく、とても満足のできるものではなかった。 外食ばかりなのだろうか。 これだけでどのようにして生活しているのか不思議である。
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