第2章 番いの弱者

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なかに入ると店員に一番入口近くのテーブルに案内され、向かい合いに座った。 「えっと、わたしは月見ハンバーグ定食とドリンクバーを」 「僕はお子様ランチ二つとドリンクバーで」 「かしこまりました。ドリンクはあちらでご自由にお取りください。ごゆっくりどうぞ」 なんというか、予想通りのキャラだった。 「…………あんたお子ちゃまね」 「うるさいな。飛鳥様だってハンバーグとか注文してるんだからお子ちゃまだよね」 「ハンバーグじゃないわよ、月見ハンバーグ『定食』だから大人よ。お子様ランチとは訳が違うわ」 というか、ハンバーグを注文しただけでお子様とは言えない。 やり取りがもうお子様であることに否定はしないが。 「好きなんだよ、ここのお子様ランチが。すごく美味しいんだよ」 「それってつまりお子ちゃまってことよね?」 「あ、まぁ、それより話し始めようよ。ながくなると思うし」 話を逸らされた。 しかも強引に。 「そうね、じゃあお願い。もちろん話はちゃんと聞くわ。逃げるつもりもないから安心して」 「そう。強いんだね」 「強くない」 言ったそばから話が逸れる。 「飛鳥様は強いよ。普通、精神安定剤なしでそんな落ち着いてなんかいられない」 「そうかな、そんなにすごいことかしら」 「うん、飛鳥様はすごいんだよ。嫉妬してしまうくらいに…すごいんだ」
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