第2章 番いの弱者

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「だとすると出来るのかしら。解約を。教えて、わたしの中にいる神様との契りを解く方法を」 「いいよ。いくら偉大な天照大御神であっても契りの解除が難しいとは限らないからね。当然僕なんかはその神様とお会いできる身分じゃないけど。融通のきく神様なら、悪霊などと違ってお願いするだけで離れてくれると思うんだ」 「それは嬉しい情報だわ。それでどのような方法を使えば離れてくれるのかしら」 「まぁあまり焦ることはないよ。どっちにしろ今すぐに出来ることではなくて、機関にお願いしてちゃんとした下準備を整えてからになるからね。今日中に機関に申請できれば早くて5日後になると思うんだ。つまり今日は火曜日だから来週の日曜日になるのかな」 「そ、そんなにかかるの?ほぼ丸一週間じゃない」 「気持ちは分かるけど、こういう神聖な儀式というのは十分な技術をもつ数少ない祈祷師[きとうし] が必須でさ、準備も含めてその人たちの予約が一ヶ月待ちとかに大抵の場合なるんだよ。でも今回は運良くお姉ちゃんがいるからね。 「あそこまで位が高くて顔の広いお姉ちゃんならコネで早くさせることが出来るはずだから、来週の学校までには間に合わせることが出来るはずなんだ。ついてるよ飛鳥様は」 「そう。じゃあわたしは日曜日まで何をしてればいい?やらなければならない事とかあったりするの?」 「そうだね」 「……………。 「……特にない」 「あ、ないの?」 「いや当然ながら飛鳥様には自宅に帰ってもらう訳にはいかないんだ。そんな体じゃいつどんな大事を招いてしまうか分からないからね。 「だから天照大御神との契りを解約しないかぎり、一般人との接触は一応禁止ということにさてもらうよ。それまでは学校も自宅も離れてお姉ちゃんの家で閉じこもっていてもらうからね」 「だから、服と生活用品が必要ってこと…………。ちゃんと学校と自宅には言い訳出来るんでしょうね?そうでないと困るし」 「大丈夫だよ。たとえお姉ちゃんの細工が失敗したとしても、まだ僕の催眠術があるんだから問題ないよ」 「そう、それなら助かるけど。ところであんたが使う催眠術って何なの?あと昨日のことを他にも」 「そうだね、僕の使う催眠術というのは一般的にいう催眠術と違うんだ。あくまで僕が使うのは霊力を使った直接的な脳神経系の操作だよ」
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