第2章 番いの弱者

15/197
前へ
/230ページ
次へ
「さらに、取り分けて優先座席にはお年寄りが座るところだから、恰好のスポット場となって超自然的存在が集まりやすくなるんだ。飛鳥様と優先座席に座る人の両方をバラバラに守るのは大変だからね、飛鳥様には優先座席に来てもらった」 「えーっと、質問いい?なんでお年寄りのいるところが恰好のスポット場になるのかとか。なにが関係するのかとか。理由はあるの?」 「勿論だよ。年齢を重ねてきた人ほど人生としての経験が大きいからね、それだけ器たるものも大きくてね、輩[やから]には魅力的なんだよ」 「じゃあ器とかは大きくなるものなのね」 「うん。人を鍛えれば大きくなるし、人を鈍[なまくら]すれば小さくなったりもする。とはいえ基盤となるのはやっぱり生来[せいらい]の能力なんだけどね。 「前から飛鳥様のことは機関に取り沙汰されてたんだけど、それは機関で最高厳重保護人物として注視されていたくらいなんだ。他の人に比べて器たるものが大きすぎるとされて、神様や妖怪、波旬を惹き寄せやすいと考えられていた。 「だから僕は機関に命令されて、毎日飛鳥様を監視と護衛をさせてもらっていたんだ。何かしらの良からぬ物が近づかないようにね。 「基本的に妖怪や波旬などの類は、日の沈む黄昏時[たそがれどき]に動きが活発になるんだ。 「監視や護衛は飛鳥様が高校に入学して電車で登校しはじめてからなんだけど、朝と夜の登下校は僕が付き添わせてもらっていたんだよ」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加