第2章 番いの弱者

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「もしかして、あんたも電車のなかで」 「うん。その時にはまだ妖怪とか神様とかいうものは頭になくて、もちろん能力もなにもなかったんだけど、中学2年生のある日。電車のなかで霊にとり憑かれて飛鳥様と同じように激痛に襲われたんだ」 痛み。 それは何かに憑依されるときの痛みで、わたしの場合は神様だった。 「だけど近くで僕の護衛をしてくれてた機関の人が、それに気付いてくれてね。すぐさま助けてくれたんだ。それがお姉ちゃん、狛姓 馨さんだったんだよ。 「まぁその後も色々あって色々経験して、僕はお姉ちゃんのいる機関で一緒に働かせてもらうことになったんだ。 「そうそう、そのお姉ちゃんや僕が働いてる機関については裏世界の人間と限られた場所でしか話すことはできないから、それに関する質問は遠慮してもらうよ」 「お待たせしました。月見ハンバーグ定食とお子様ランチです。ご注文は以上でお揃いでしょうか。ごゆっくりどうぞ」 ここで料理が来たので一度話は切る。 「あっそうだわ、まだ飲み物取ってきてない。食べ始めるまえに取りにいきましょ」 「そうだね」 わたしと髪木はドリンクバーの前に立つ。 「えーっと、どれにしようかな。 「う~ん、これだわ」 グラスを取ったわたしはメロンソーダを注ぎ入れる。 髪木はまだ、どれにするか迷っているようだ。 「先に戻るわね」 「うん」 テーブルに戻ると、今まで馨さんや髪木から聞いたあれこれを頭のなかで整理してみる。 以下、まとめ。
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