第2章 番いの弱者

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『それを見たわたしもパニックに陥り髪木を正気に戻そうとビンタをするが、神様の力を意図せず使ってしまったわたしは髪木の頭を跳ね飛ばしてしまう。 『「抜け首」などという妖怪と契りを交わしていた髪木はすぐには別状はなかったが、早く頭と体を繋げあわせなければならないまずい状況となり、髪木の指示のもとわたしは回復術たるものを施行することとなったのだが効果は得られず。 『すると髪木は体内に宿している妖怪を押さえ込む力を失い、終[しま]いには完全憑依されてしまう。 『そのことによってわたしは命の危険に曝されることになるのだが、情報を聞き付けた髪木の上司にあたる狛姓 馨さんが駆けつけてくれ、その場の状況は回復へと向かった。 『わたしの中にいる神様は儀式により出ていってもらえることが可能であるということで、五日後の日曜日、髪木や馨さんの仕事関係にある祈祷師にお祓[はら]いのようなものをしてもらえることになった。 『それまでの五日間は馨さんの家でお世話になることとなり、今日は昼食を食べたこのあと、近くのショッピングモールに服や生活用品を購入しにいくことになっている』 っといったところだろうか。 簡潔に纏[まと]めてみたけど、まだ分からない箇所がいくつかある。 ただ、それを聞く必要があるかどうかは分からない。 五日後には神様との契りを解約し、もとの生活に戻るのだからこれ以上聞いても自分にメリットがなく、寧ろ余計なことを聞いてしまう可能性もあるため避けなければならないような気もする。 『いや、それなら最初から髪木は質問を受け付けていないか………』 ここで、ふと気が付く。 「……ってか髪木、遅‼ドリンクバーでどんだけ時間かけてんのよ!?わたしが戻ってきてからもう20分は経ってるわよ!!!なにがあってドリンクバーで20分よ!!!」
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