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「…………?」
直緒は怪訝な顔をしながら、自分を取り巻くこれらのアブノーマルな光景を眺める。
途端、直緒の虚ろな瞳に映る、
紫電一閃。
神速、光華を放ちながら、黒炎を切り裂いた、白刃の横掛けの一閃。
「……冗談にもほどがあるだろ……」
それが直緒の率直な本音であった。
彼の目前に迫る閃光は、あまりに凄絶で、圧倒的過ぎた。
切り裂かれた炎は、次第に焚き火ほどの火勢になり、最終的に松明ほどの火勢になった。
あんなにコンスタントに燃えていた炎は何だったのだろう……。
直緒は心中でそんなことを思いながら、放心状態で黒炎の顛末を見ていた。
直緒の膝ほどの高さになった炎の外炎には、陽炎に揺らぐ人影が、見慣れた教室の風景とともに浮かび上がる。
「……誰なの……?」
黒炎を介して屹立する、誰か。
正体を確かめようと、直緒はじっと目を凝らした。
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