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彼女は、長いブロンドを邪魔臭そうに掻き上げ、
「……………………」
口述するのが億劫なのか、一向に口を噤んだまま、悠然と突っ立っている。
寡黙な彼女に同じ質問ばかりしても、埒が明かないと思った直緒は、機転を利かせ、
「黒い炎に刀……。何かのサプライズかもしれないけど、人違いじゃないかな……。“君がサプライズを仕掛けようとした人”と“僕”とは生憎別人だと思うよ。君がサプライズを仕掛けようとした人ってーー」
「……“しみずなお”……や……」
機転を利かせたが、愚問だった。
さも当然、かのように彼女は、マスク越しに直緒のフルネームを言い放ち、
「……“清水直緒”……や……。他でもないアナタ、清水直緒が、ウチら“帝堂学園生徒会”が獲得を希求している恰好の人材……や……」
そして、強い意志を反映させるかのような、艶やかな碧眼で直緒を睨み、
「……女子のように目鼻立ちの整った顔、ピンク色の髪……。アナタが清水直緒本人に間違いない……いや、本人……や……。“白鳥さん”に探索を頼まれた時、千人近くいる全校生徒の中から清水直緒本人だけを特定するのは、雲を掴むような話だと思ったが、案外そうでもなかったな……」
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