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「生徒会の腕章……。生徒会が僕に何の用――」
直緒は怖々と彼女に反駁。
その刹那、問答無用、とばかりに彼女は、刀の柄を両手で強く握り締め、大上段の構えのまま、飛燕の早業で直緒に斬り掛かる。
「……ウチはこの伝統ある生徒会の腕章に恥じぬ振る舞いをしなければならない……んや……。清水直緒のスカウトに失敗は許されない……んや……?」
直緒は愕然と、
「もしかして……“僕の持ってる能力”を知った上で、君は……」
「……そう。スカウト対象者各々の詳細な情報は全部頭にインプットされている……。ウチは“清水直緒の能力”の全容を知った上で、こんなことをしている……んや……」
彼女に浅知恵は通じないと思いながら、直緒は刀を振り翳す彼女の剣幕に怖じ気付く。
途端、戦慄する直緒に襲い掛かる、
白刃の一閃。
遅疑逡巡することなく振り下ろされた、右肩口から左脇腹にかけての袈裟斬り。
「……痛ッ?」
兇刃が生ずる猛然たる衝撃に直緒は、仰け反り、落胆するかのようにその場に跪いた。
痛みを感じる、直緒の身体。
その痛みは、“刀の切っ先による裂傷の痛み”ではなく、“血管に電流でも流されたか、と錯覚するほどの、痺れを伴う痛み”……。
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