第零章 僕に絡むヤツらは普通(だて)じゃない!

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 その痛みに堪えながら直緒は、おもむろに顔を上げた。  さっきの斬撃による烈風で、黒炎は跡形もなく消え失せていた。その上――、 「……ありえ……ん……?」  マスク姿の女子生徒は、歯噛みし、 「……“どんな物理攻撃”、“どんな特殊攻撃”でさえもはね返す、“完全防御”……。熟知しているつもりでいたが、ウチの刀も……くそっ……?」  彼女は、振り下ろされた刀の柄を強く握り締めたまま、膠着状態に陥っていた。  刀身は全体の三分の一程度の長さを残し、真っ二つに画断。  刹那、画断された刀の尖端は物凄い回転数で飛動。空に弧を描きながら、彼女の左足元近くの床に突き刺さる。  鋭く光り輝く刃の稜線には、微量だが、直緒のまっさらな深紅の血液が附着していた。  動悸が高まる、直緒。  息切れ状態の、直緒。  彼はようやく現況を把握することができた。  肉眼で見える“それ”は、先刻まで彼の視界を支配していた黒炎より威圧的、なおかつ神秘的な……“漆黒の稲妻”。
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