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いつの頃からだろうか。地球では農作物という言葉が消えた。
動植物が絶滅したからではない。そうなりかけた時期もあったが、今、地球の環境というのは安定しており、農作物は自然界へと戻ったのだ。
過去の人類は自分達の食生活が、ここまで大きく変化すると分かっていただろうか。おそらく、誰一人として予想すらしていなかっただろう。
「さ、夕ご飯よ」
「はーい!」
母親に呼ばれ、子供達は喜んでリビングの椅子に座った。テーブルには、色とりどりの食べ物が並んでいた。
どの食べ物からもいい匂いがしていた。酸味の効いた唾液を誘う食べ物もあれば、甘くデザートにうってつけの食べ物。ゴリゴリとした歯ごたえや、クニクニとしたガムのような歯ごたえ。一回の食事に、香り、味、歯ごたえ。これだけ、千変万化に富んだ食べ物があるだろうか。
子供達も嬉しそうだ。親といえば、切ったり千切ったり、場合によっては、そのままの状態で出してもいいので、余計な手間が掛からないと喜ばれていた。
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