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ここに、ハル兄が居る。
アパートの前でしばらく立ち尽くしていると、雪が降り始めてしまった。
落ち着く為に、大きく深呼吸を繰り返した。
途端に冷たい空気が肺に流れ込んで、吐く息が白くなる。
「ハル兄、会いに来たよ」
そう呟くと、鼻の奥がツンと痛くなった。
コンクリートの階段を上り、震える指でインターホンを押す。
無機質なブザー音が聞こえると、あたしの心臓は期待と不安でこれ以上に無いほど大きく跳ねた。
その数秒後、ハル兄に連絡もせずに訪ねたことを死ぬほど後悔することになった。
だって、今日はクリスマス。
クリスマスパーティに出かけていたって不思議じゃない。
いや、むしろその確率の方が高いのに、どうして考えなかったのだろう。
ここまで来て、ハル兄に逢えないなんて……
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