13.

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    「ニホンジン、デスカ?」 あたしと目線を合わせるように身体を屈めたその人は、カタコトの日本語で話し掛けてきた。 「……イ、イエス……」 おどおどしながら答えると、次に「ドコカラ、キタノ?」と訊かれた。 ドコカラ? えっと…… 「ア、ア、アイム・フローム・ジャパン?」 緊張し過ぎて、可笑しな英語になったあたしをじっと見詰めたその人は 次の瞬間、「カワイイ」と言ってあたしを抱き締めた。 ひゃっ?!な、なんなの? 「プ、プリーズ……」 離れてと言いたいのに、英語が全然出てこない。 視界もこの男の人に覆われてしまって、何も見えない。 これって、引ったくりの手口?
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