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背が高いハル兄を見上げると、優しい力で抱き締めてくれた。
その腕の中が温かで、泣いてしまいそうになる。
「身体が凄く冷えてる」
「うん。ハル兄が戻ってくるの、ずっと待ってたから」
「どうして、連絡寄越さなかったの?ここは日本じゃないんだよ、何かあったらどうするつもりだったの?」
「言ったら、ハル兄はあたしに会ってくれないと思って……」
「まったく」
ハル兄は、ため息まじりに小さく笑うと「部屋においで」とあたしをアパートに招き入れた。
ハル兄の部屋は、本が散乱している以外は、片付いているように見えた。
想像していたよりも、随分広い一人暮らしのアパート。
ここに、あたしよりも先に奈緒さんが来たのかと思うと、少しだけ複雑な気持ちになる。
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