3076人が本棚に入れています
本棚に追加
振り向いたハル兄は、「なに?」と天気でも確認するように軽く答えて。
それから、あたしに向かって歩いてきた。
「ハル兄、あのね、」
「俺、日本には、戻らないよ?」
言い方は柔らかくても、決意の固さはハル兄の瞳を見ればわかる。
でも、あたしだって、ここで引き下がるわけにはいかない。
「ハル兄を無理に連れ戻そうとは思ってないよ。
ただね、わかって欲しいの。
ハル兄の帰る場所は、ちゃんとあるってこと」
「…………」
ハル兄は何も言わずに、ただ微笑んでいる。
でも、その笑みからハル兄の拒絶を感じ取って胸が苦しくなった。
どう言えば、あたしの気持ちは伝わるのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!