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「あたし、日本でハル兄が帰ってくるのをあの家でずっと待ってるから。
だから、いつでもいいから、帰ってきて」
ハル兄はあたしを見詰めたままで、溜め息を吐いた。
「環、前にも言ったよね?
俺は、もう、環の『お兄ちゃん』には戻れないんだよ。環のことが好きなんだ、妹としてじゃなく、女として」
ハル兄はそう言うと、目を伏せて
「この話はもう終わり。チキン、もう一度温め直すから」と背中を向けた。
「…………」
どうして、伝わらないの?
ハル兄が好きだよ。必要なんだよ。
ハル兄の人生を邪魔しないように、言葉を選んでいるつもりなのに……
言葉だけじゃ、伝わらないの?
「ハル兄!」
気が付けば、ハル兄の背中に抱きついていた。
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