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でも、ハル兄には伝わったみたい。
二人で少し焦げたチキンを食べて。
くだらないことを話して笑いあった。
最後の方は、ハル兄の大学の話を相槌を打ちながら聞いていたと思う。
言ってることなんて、まるでわからなかったけど、充実しているのは伝わった。
楽しそうなハル兄の笑顔を見ていると嬉しくて。
もっと、話していたかったのに、いつの間にかハル兄に凭れ掛かるようにして眠ってしまっていた。
気が付くと、あたしはベッドに一人きりで。
寂しくなって、ハル兄を呼ぶ。
あたしの前に現れたハル兄は、力強くあたしを抱き締めると
「環、キスしていい?」とあたしの頬を撫でた。
瞳を閉じて、ハル兄を感じる。
一つ気がかりなのは、ことの成り行きを楽さんにどう説明しようかということ。
「なに?」
「あのね、楽さんに」
「あいつのことは、今は忘れて」
【END】
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