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またか、と思いつつ「幾ら?」と聞けば、遠慮気味に「一万円」と右手を差し出したバカ兄貴。
「却下」
「じゃあ、五千円」
「却下」
「ええっ、そんなぁ。環ぃ、お願いします」
「この前の三千円もまだ返してもらってないし」
「わかった。千円返すから、五千円貸して」
このバカ兄貴は少女漫画の王子さまのように、にっこりと微笑んだ。
妹にお金を借りる兄なんて本当情けない。
そう思っても、あたしはハル兄に甘いのか、こんな風にキラキラした瞳で見詰められると、何故かイヤだと言えなくなってしまう。
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