D・R

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「我々の乗った宇宙船は、何とかこの星の軌道に乗ることには成功した。だが、大気圏に突入すると重力が強く、エンジンの出力を最大にしても思っていたよりも減速出来ずに落下するようにして、地表に落下してしまったのさ。  その為に宇宙船は酷い損傷を受けて故障してしまったが、幸いにして命だけは助かった。地球に助けを求めようにも交信機までもが壊れていて、それも無理だった。  仕方なく外に出て、さ迷っていたところに彼らと遭遇し、話しかけられたのだ。言葉は、我々の用いる言語とよく似ていたので理解することができた。  彼らは、我々が何処から来たのか、どうしてそんな格好をしているのかと色々と質問を浴びせてきた。そして、こちらが答える暇も与えずに、二本の足だけで歩くのは変だと言ってきた。  そうこうしている間に、この族長のいるところまで我々は連れていかれた。丁度、今の君達のようにね」  そこまで話すと、それまで黙って聞いていた族長らしき者が遮るように、話に割って入ってきた。 「この物共に対して、我らは友好的に接してやったのだ。ところが、ある日怪しき術を用いて火を起こし、与えた食べ物を焼き払ったばかりか、その火で我らの仲間にも大怪我を負わせたのだ。  いくら寛大な我らでも許し難いことであったが、今後は我らと同じように過ごすならばという条件で許してやった訳だ。  ところが、こいつらは相変わらず我らに馴染もうともせず、危なっかしく二本の足だけで歩いておるではないか。それを真似する者が出て、仲間がまた怪我でもしたら大変なことになる。そこで、歩き方も我らのようにするように命じたのだ」  すると、族長の後ろに従うようにしていた隊員の一人が、また口を開いた。
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