D・R

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その表情を見て、隊員の一人が言った。 「皮肉なもんだな。双子星の両方に同じ種族が生息していたのに、兄星では地球の文明を受け入れて進歩し、崇められていたのに対して、こちらの弟星では地球の文明を拒んで未だに原始的な生活を送り、従属させられていたなんて」 それを聞いた弟星の族長が、 「なんだと! 向こうの星にも我らと同じ者達がいるというのか。しかも、お前たちの文明とやらを受け入れて、我らよりも進んだ生活をしておるだと。そんなことは信じられん。もし本当なら、その証拠を見せてみろ」 と、凄い剣幕でまくし立てた。  確かに、話を聞かされただけでは信じられなくても当然だろうということになり、兄星で記録してきた映像を見せてみることになった。  一方で、今までこの星で従属させられて暮らしてきた隊員達は、一刻も早く地球に帰りたいとせがんだ。しかし、全員を宇宙船に乗せると定員をオーバーしてしまう。  どちらにしても、一度宇宙船に戻り、地球の基地に報告をして指示を仰いだ方が良いだろうとリーダーは判断した。  そこで、一行は族長と自分も一緒に行きたいと願い出た若者一名を加えて、まず特殊車両のある地点まで行き、そこから宇宙船に向かうことになった。  特殊車両のあるところまで来ると、その物体を目の当たりにして族長と若者は驚いた様子で、これは何かを尋ねた。隊員達は説明しても、わからないだろうと車内に二人を招き入れた。そして二人を乗せたまま、宇宙船に向かって進み始めた。  族長は自分達が動いていないのに周りの風景が動いてゆくので、少し怯えた様子で固まってしまっているように身動きひとつせずにいたが、一緒に来た若者はむしろ未知の物に対して目を輝かせているように見えた。  
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