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そして、奇跡的と言ってもよいほどの確率の中、ついに右側の星へ探査船を着陸させることに成功したのだ。
早速、探査を開始してデータを分析すると、そのデータのほとんどは左側の星と一緒だったのだ。基地の一人がそれを比べてこう言った。
「まるで双子のような星達だな」
それが伝え広まり、誰が言うでもなしに、左側の星の方が少しばかり大きかったので兄星。右側の星を弟星と呼ぶようになった。
いよいよ、なんとか無事に無人探査を終えたので、今度は有人での調査が行われることになった。左側の兄星に向かう隊員はすぐに決まった。しかし、右側の弟星に着陸できたのは奇跡的といってもよいくらいだったので、我こそはという者を募って人選が行われ、男女を問わず勇猛果敢な精鋭隊員が乗り込むこととなった。
こうして準備も整い、二台の調査船はそれぞれの目的の星に向けて出発した。二台共、なんとかそれぞれの星に到着できたように見えた。
しかし、いくら待ってもどちらの調査船からも基地に連絡が入ることはなかった。しびれを切らせて、何度か基地からも交信を試みたが連絡はとれない。元々、無人探査の時から着陸に困難を極めたのだから、着陸する時に不測の事態が起こって調査船が故障したのかもしれない。或るいは交信装置が故障したのかもしれないと思い、調査隊からの連絡を待ったが、ひと月経っても連絡は途絶えたままだった。
しかし、安否を確認する為に差し向ける宇宙船はすぐには用意出来なかった。何故なら、今の科学力では同じ性能の宇宙船しか無いからだ。
もし、すぐに宇宙船を打ち上げても、また同じことになる可能性が非常に高いと誰もが思ったからだった。
基地からの交信は定期的に幾度となく試みられたが、何の応答もないままであった。その為、ついにこの双子星への入植は見合わせられることとなったのである。
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