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だが、まだ着陸しただけのことである。データによれば文明らしき痕跡が見られた訳だから、隊員達は武器を持ち用心しながら船外に固まるようにして出てみた。どうやらこの場所には、生物はいないらしい。データから作成した地図を広げて、とりあえず文明の痕跡の写っていた場所まで移動することになった。
移動には、この日の為に開発された特殊な車両を使って進んだ。その間近までくると何やら人影らしきものが動いているのを遠方から発見することができた。その人影らしき者もどうやらこちらに気付いたようだ。
しかし、警戒するような素振りは見せずに、むしろ向こうから近づいて来る。隊員達は更に警戒しながら少しずつその距離を縮めていった。
やがて、その人影をはっきりと目視できる距離まで近づくと、相手はしきりとこちらに向かって手を振っている。もしかしたら、十数年前の隊員ではないかと眼を凝らしたが、その姿かたちは地球に生息しているゴリラやオラウータンに似ていた。ただ異なっている点は、きちんと二足歩行をしている点だった。
暫く様子を見ようとそこに停止していると、その生き物は次々と現れてなにやら話しかけてきた。それは、地球上で使われる共通言語に非常によく似ており、話の内容も大体が理解できた。
その話の内容とは、こういうものだった。
「あなた達も天からやって来たの方々のようですね。以前にも天からあなた達のようにやって来た方々がおりました。そのおかげで私達の暮らしは一変しました。それまで、地面に手を着いて歩いていた私どもは足だけで歩いている姿に驚いたのです。
そして、その空いている手に道具を持って移動していることに感心したのです。そうすれば多くの物を運んだり、色々な作業をすることができるのですから。
それから、火を自在に起こす方法も教わりました。それまで生で食べていた為に、病気になる者が多かったのですが、火で料理するということを覚えたおかげで、病気になる者はめっきりと減ったのです。
それらを真似することで私達の文明は飛躍的に進歩を遂げました。それはもう、感謝してもしきれないほどにです。ですから、あなた達も歓迎します」
と、大よそこんな感じのことであった。
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