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また、簡単な伝言であればそれを彼らに伝えると約束した。その伝言の内容はほとんど一緒で、今元気に過ごしているのかと、安否を気遣うものがほとんだった。それについては、今自分がこの目で見てきたら大丈夫だと答えた。それによって家族が生きていたと知っただけでも活気を取り戻したことは声でわかった。
連絡を済ませた隊員が皆の集まっている場所に戻ると、更にこの星の住民は増えてきていた。どうやら、その隊員が宇宙船を往復する間に、他の隊員達にこの星で採れた食物などを持ち寄って歓待してくれていたというのである。
「では、皆さんを我々の街にご案内します」
そう族長らしき者が言うとそれに従うように他の者達も歩き始めた。その後について行くとほどなく、この星の中心地に到着した。
街並みには地球のものと比べるべくもないが、様々な建築物が建ち並び立派な文明の証がそこにあった。郊外には、菜園や田畑まであるという。
族長らしき者が口を開き、
「これらは全て、天からいらした前の方々から指導を受けたおかげで築き上げられたのです。それまでの私どもの生活は野生した木の実や果物を、或いは獣を狩猟してその場で食事をするというものだったのです。しかし、今や食糧の心配もせず、野獣に襲われる危機からも脱することができました。本当に感謝しております。
あなた方はこの星に新たに住み移る者達のために調査に来たとも聞いておりますが、あなた達のような方々が多く来られることはこの星にとっても、喜ばしい限りです。いつでも歓迎するとお伝えください」
そう言って、隊員達にお礼を述べた。
調査隊はあらかたのことを見聞し、調査目的も終えたので次の弟星を目指すことにした。その際に、先着隊のメンバーにも一緒に来るかを訪ねた。
すると、いずれ来るであろう入植者の為に残るという者と地球に残してきた家族に会いたいので共に連れて行って欲しいという者に分かれた。
そこで、後者の者達を宇宙船に同乗させることを地球の基地に連絡した。基地からの指示もそれで良いとのことであったので即座に決定をみた。
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