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30代にまだなったばかりの青年に見えた。
銀縁の眼鏡は、真面目な雰囲気を初対面の相手に与える。
十分整った容姿をしたその男は、案内された居間で一子さんに会い、戸惑っていた。
「あの・・・清田さん?ご家族は亜由美さんのご両親と清田さんだけとうかがっていましたが、ご親族の方ですか。」
「ああ、いえ、こちらは昔からお世話になっておりました方で・・・」
一子さんは、にっこりと微笑んだ。
「四屋敷一子と申します。清田さんとは、その昔金物店を出してらした時から、随分とお世話になりましたので、今日はご家族のお見舞いにあがりましたの。」
一子さんは、清田の孫娘の担任というその男に頭を下げた。
普通の挨拶だった。
しかし。
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