一子さんの一日

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夜、一子さんは夫と別の寝室に入る。 二人の子に恵まれ、その子らを育てているうちに子供の夜泣きに夫が寝不足にならないよう寝室を分けて以来だ。 今は、彼女と夫の生活時間が少し違っているので、別々の方がありがたい。 夫は、入浴後に自室で少しテレビを見て、すぐに眠ってしまう。 対して、一子さんはその日一日あったことを日記に綴り、届いた郵便物を確認し、携帯のメールを見る。 彼女はパソコンを扱わないが、時代が時代なので携帯は使っている。 おかげで、彼女の都合とは関係なく方々から連絡が入るようになった。 「どうなのかしら。都合を考えない電話も迷惑だけど、メールはいつ見てもいい代わりに留守で出られませんってことがないし。でも、仕方ないのかしらねえ。」 それらをすべて終えて、一子さんはようやく布団に入る。 どこにでもいそうで、どこにでもいない、四屋敷一子さんの日々である。
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