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数日後、ガルダは下界に降りていた。
接触をしなければ良いとの許可をもらい、アナスタシアの様子を見に来たのだ。
前の彼女と別れて数百年。
再び好意を持てる女性が現れ心が弾んでいた。
「相変わらず素敵な笑顔ですね……。」
見ているだけで幸せだった。
彼女が幸せなら自分も幸せだ。
下手に接触して親しくなっても、待っているのは悲しい別れ。
だからガルダは見守るだけだと心に決めていた。
それから幾度となく降臨し、彼女を眺めて幸せを噛み締めていた。
「あれ?アナスタシアさんがいない……。」
診療所の中に彼女の姿は無かった。
翌日も、その翌日も彼女は現れなかった。
「何かあったのかな……。」
気になったガルダが人間に化身する。
診療所を訪れ、彼女の事を尋ねた。
「アナスタシアかい?ここを辞めたんだよ。」
「えっ!?なぜ!?あんなに一生懸命働いてたのに!彼女の天職だと思っていたのに……なぜ……。」
フッと苦笑する医師。
「確かにこの仕事はアナスタシアの天職だろう。でもね、精神的に続けるのは無理だったんだよ。」
「精神的に……?何があったんですか?」
天職である仕事を辞めるほどの出来事とは一体……。
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