繰り返される過ち

3/11
前へ
/34ページ
次へ
「彼女はね、ここに通えない患者の世話もしてたんだ。その患者の一人が亡くなって、精神的に参っちゃったみたいでね……。もう働けないと言って辞めてしまったんだよ。」 「そんな……他の患者さんを見捨てて……?」 「馬鹿言っちゃいけないよ!彼女は患者の為を思って辞めたんだ!この状態でミスしたら大変だからと悲しそうに言って!この仕事は彼女の天命だと言ったろう!?辞めたくて辞めたんじゃ無いんだよ!」 その迫力に謝罪して。 憤慨する医師から彼女の家を聞き、診療所を後にした。 彼女の家を見つけ、木の上から様子を見る。 どうやら一人暮らしのようだ。 「あ、出て来た。」 家から出て来た彼女はため息をつき、森へと出掛けた。 薬草を摘みに行ったらしい。 後を追い、彼女を眺める。 どことなく元気が無いが……精神的なショックのせいだろう。 「あれ……?泣いてる……?」 薬草を摘みながら、彼女は泣いていた。 「天職……。好きな仕事が出来ないから泣いてるのか……。」 元気を出してとつぶやいて、名残惜しいが天界へと帰る。 それからしばらく忙しく、下界に降りる機会が訪れなかった。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加