繰り返される過ち

4/11
前へ
/34ページ
次へ
「あれから一週間……彼女、元気になったかな……。」 心を弾ませアナスタシアの家へと向かう。 だが彼女の姿は無かった。 「薬草を摘みに行ったのかな?」 いつもの場所に移動する。 薬草を摘んでいる彼女を見つけ、しばらくその姿を眺めていた。 「あっ!」 帰ろうとして立ち上がった彼女が突然倒れてしまったのだ。 「ど、どうしよう、こんな森の中じゃ人なんか……。か、彼女と接触したらヴィシュヌさんにとがめられる……。」 だが、見捨てる事など出来なかった。 人の姿となり、彼女を介抱する。 「意識が戻らない……。家まで運ぶしかないか……。」 彼女を背負い、その軽さに驚きながら。 彼女の温もりに気持ちを高ぶらせ。 かぶりを振って雑念を追い払う。 「ん……。え……?」 彼女の声を聞き、立ち止まる。 「気が付きましたか?」 「え、あの、どうして……?」 自分が背負われている事に気づき慌てていた。 「倒れていたんですよ、森の中で。とりあえず人里まで運ぼうと思って、こうして歩いていたんです。」 「きゃ、ご、ごめんなさい、あの、もう大丈夫ですから、降ろして、」 慌てる彼女に首を振る。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加