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「あれから一週間……彼女、元気になったかな……。」
心を弾ませアナスタシアの家へと向かう。
だが彼女の姿は無かった。
「薬草を摘みに行ったのかな?」
いつもの場所に移動する。
薬草を摘んでいる彼女を見つけ、しばらくその姿を眺めていた。
「あっ!」
帰ろうとして立ち上がった彼女が突然倒れてしまったのだ。
「ど、どうしよう、こんな森の中じゃ人なんか……。か、彼女と接触したらヴィシュヌさんにとがめられる……。」
だが、見捨てる事など出来なかった。
人の姿となり、彼女を介抱する。
「意識が戻らない……。家まで運ぶしかないか……。」
彼女を背負い、その軽さに驚きながら。
彼女の温もりに気持ちを高ぶらせ。
かぶりを振って雑念を追い払う。
「ん……。え……?」
彼女の声を聞き、立ち止まる。
「気が付きましたか?」
「え、あの、どうして……?」
自分が背負われている事に気づき慌てていた。
「倒れていたんですよ、森の中で。とりあえず人里まで運ぼうと思って、こうして歩いていたんです。」
「きゃ、ご、ごめんなさい、あの、もう大丈夫ですから、降ろして、」
慌てる彼女に首を振る。
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