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「怪我したのね……。」
ザブザブと歩み寄って来る女性に戸惑うガルダ。
裸のまま、恐る恐る近づいて来るのだ。
「て、手当てしてあげるから、噛まないでね、」
大きな鷲に怯えながら、それでも怪我が心配で。
そっと頭を撫でる女性。
ビクッと身構えるガルダ。
「良い子ね……。治してあげるから我慢するのよ……。」
にっこり微笑まれ、気が抜けた。
彼女に身を任せても大丈夫。
そう思ったガルダが頭を擦りつける。
「分かってくれたのかしら……。待っててね、着替えたら診療所に連れて行ってあげるから。」
いそいそと衣服を身に着ける彼女。
ハッとして目をそらす。
「さてと。んー、ちょっと首貸してね。」
そう言って彼女が首に包みをくくり着けた。
薬草の匂いがする。
「さ、次は貴方の番ね。んっ、重い!よいしょっ」
9㎏はあるオウギワシだ。
気合いを入れて抱きかかえる。
申し訳なく思うガルダだったが、普通の鷲のふりをしなくてはならない。
心の中で詫びを言いながら、彼女に連れられ森を抜けた。
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