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「あ、そういえば……。兎を3匹ほど持った猟師がいましたね。」
「それ、まずいじゃないですか。あの兎を食べたらその猟師が病気になるんじゃ?」
「人間なら大丈夫でしょう。まさか生で食べたりはしないでしょうし。」
焼いて食べれば菌も死ぬだろうと彼は言う。
不安だったが維持神がそう言うならとガルダも納得した。
「で?これからどうするんですか?私は天界に戻りますけど。」
「翼が治るまでここにいます。その方が自然でしょう?」
「そうですね。では私はこれで。まだ魔神が残ってると思いますからシヴァの助太刀を。」
フッと笑って姿を消すヴィシュヌ。
「ヴィシュヌさんも好きですね、バトル……。」
つぶやき窓の外に目を移す。
隣の診療所が良く見えた。
「アナスタシアさん……か。」
彼女が怪我人の手当てをしている様子が見えた。
それは目を背けたくなるような酷い怪我だった。
「すごい人ですね……。あれを見ても笑顔のままだなんて……。」
患者に不安を与えない為の笑顔だろう。
と、彼女がこっちを見た。
にっこり笑い、手を振っている。
「無邪気な人ですね。鷲に手なんか振って……。」
そんな彼女に好意を持って。
翼が治るまでの数日間、ずっと彼女を眺めていた。
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