7-微かな崩壊の音

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「よく、4人で過ごしてた」 中を見てあたしはますます違和感を覚える。 入ったのはリビングのような部屋だったが、その中にはこれといって特徴的なものがない。 ものが極端に少なすぎると言ってもいい。 人が使っている気配がない。 静かすぎる部屋。 そう、それも、まるであとからすべて消し去ったかのような…   結人さんが換気のために窓を開けたので、とりあえずそれに倣い他の窓を開けた。 春とはいえまだ肌寒い風が、今は心地よかった。 真っ白いレースのカーテンが風に揺れる。 「4人って?」   あたしは気になったことを素直に尋ねていた。 結人さんは先程お父さまが連れてきてくれたと言っていた。 それが結人さんの家族だとしたら、結人さん、お父さま、お母さまと、人数が合わない。 結人さんは一人息子のはずだから。 ――では、4人っていったい… 「俺と親父、それに怜一郎と怜一郎のお母さんだよ」   言われた言葉はあまりにも意外で、あたしは一瞬次に言うべき言葉を見つけることができなかった。
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