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「結人さんと怜一郎さんって、仲いいですよね」
とりあえず言ったのは、そんな当たり障りもない言葉だった。
でも、ずっと思ってきたことでもあった。
なんだかんだ言いながら、ふたりは仲がいい。
よくお互いのことを分かっているし、お互いに気を許しているのがはたから見ても分かる。
そんなふたりを見て、うらやましく感じることさえあった。
「…そうだね」
しかし結人さんは肯定しながらもどこかすっきりしない顔をしている。
なにかを隠しているような顔だ。
いったいどうしたのだろう?
…今日の結人さんは変だ。
「…ねぇ、あんちゃん」
名を呼ばれ、あたしは素直に結人さんの方を見た。
いつもの結人さんとは違う、陰りを帯びた瞳。
「あんちゃんは、どうして怜一郎と結婚したの?」
突然の質問。
でも、それは訊かれ慣れた質問だった。
怜一郎さんの親せきの方や、学校ではクラスメートだけでなく名前も知らないような人から興味本位で聞かれたことがある。
でも、結人さんの質問は、言葉は同じでも、何かが違うような気がした。
そうまるで、何もかもすべてを知っているかのような…
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