442人が本棚に入れています
本棚に追加
少年は誰にでもそうだった。
ジェイクだけでは無く、自身を除いた全ての人間に対し同様の視線を送る。
彼にとって人間とは塵にも等しい存在であり、世界に住まう寄生虫以外の何者でもないのだ。
「ゴミ……だな」
鼻で笑いながら視線を動かし、屋上の端まで歩み寄った少年は、手すりに体を預けながら市街を眺める。
陽が傾いた空と、その下で蟻の如く地を這う人々。
天と地の狭間に立つ少年は何を思うのか。
変化の見えない表情からは何も窺えない。
ただ、一つだけ分かる事がある。
少年は世界を憎んでいるのだと、憎悪に満ちた赤い瞳から。
最初のコメントを投稿しよう!