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アルという少年は、父を若くして亡くしてしまい、病気がちな母を支えるめに、毎日朝早くから海へ漁に出ていました。
とある日も、何時もと同じ様に漁に出るために、下準備をしていました。
今日は波が荒いなぁ…昨日の嵐のせいか。
などと思いながらもせっせと準備を初めていました。
きっと、今日などという日に漁に出ても収穫など殆どないというのに…それでも、アルは漁に行くことを決めていました。
命さえも危ういという昨日も。
晴れたが波がまだ収まらない今日も。
どうなるか分からない明日も。
家を支えるために…
そして、船を出そうとしたその時、
誰かがこっちに向かって流れてくるのか見えました。
その人は、隣町の王の息子と、
その王子を一生懸命陸へ上げようとしている、
なんとも美しい、人魚姫。
人魚姫は、言いました。
『神様、素敵な王子様のお命を、どうかお助けください。』
その、儚く美しい声に、少年は一瞬で虜になってしまいました。
その時、丁度通りかかった娘が王子様に駆け寄ると同時に、人魚姫は遠くへ隠れてしまいました。
「まぁ、大変!こんなところに人が倒れているわ!」
娘は、慌てながらも王子を一生懸命手当てしていました。
ですが、アルの目にはそんな姿は写りません。
アルの目には、切ない顔で王子と娘を見つめる人魚姫の姿しか、写っていませんでした。
それから暫くして、王子が目を覚まし、娘に助けてもらいながらも、娘の家に休みに行く時、アルはやっとその事に気づき、娘と王子を見届けていました。
その一瞬の間に、人魚姫は海底へもどって、しまい、アルが見たときには、もう人魚姫の姿はありませんでした。
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