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辺りを見渡しても、人魚姫の姿を見つけることは出来ませんでした。
その日から、アルは漁に出かけては人魚姫を探し続け、1週間の時が過ぎようとしていた時にある少女に出逢いました。
その少女は、あの時の人魚姫にそっくりでした。
見かけた初め、少女は王子と微笑みあっていました。
ですが、数秒後に彼女の顔から笑顔が消えてしまいました。
目には涙をため、海岸の方へと走り去ってしまいました。
王子は戸惑い、追いかけるべきかと迷いに迷った挙げ句、追いかけることを諦めました。
そんな王子を見て、アルは苛立ちを感じながらも、彼女を追いかけることを優先しました。
彼女は、海岸のギリギリのところに立っていて、下には、5人の髪の毛がバッサリ切れたような人魚たちが、彼女に話しかけていました。
様子を見ようと思い、アルは林に隠れながらも、彼女たちに近づきました。
「この短…で、王子の___を」
「そ、すれば__人魚、戻…」
少し、聞こえないところもあったが、あの少女があの人魚姫だということは、アルには分かった。
美しい声の彼女に、戻って欲しい。と願いながらも、
人間の姿のまま、彼女と結ばれたい。という欲も出てくる。
このとき、アルは初めて、人間とはなんて欲深い生き物なのだろうと思った。
純粋に、相手を思い。相手の幸せだけを願う、人魚たちを、うらやましいとも思った。
この時が、人魚姫を見た最後だった。
いつかまた、彼女に出逢いたい。
今度は、、、
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