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◇◇◇◇◇◇
side♯ 武政烝
「はぁ…」
新八の姿がバスルームに消えたのを確認して
俺はまたでかい溜め息をついた。
クルクルと表情が変わるアイツを見ていると飽きない。
…が、相手をしていると、いつの間にか俺のペースは乱される。
自他共に認めるドライなこの俺がまさか他人にここまで干渉する日が来るとは思わなかった。
……いや、
だらしない新八を相手にしていたら、誰でもこうなるんじゃないだろうか?多分…
苦笑いしつつ
改めて、開け放たれたままの新八の部屋を見た。
「…………やっぱ汚ねぇ…」
この寮は各部屋2人用の2LDK。
生徒会役員以外の一般生徒の個人部屋は6畳の広さになっている。
新八の部屋は
その6畳の空間の至る所に本、ペットボトル、CD、DVD、ゲームソフトetc…
とにかく、明らかにそのまま適当に積み重ねたんだなと分かるタワーが点在している。
何とか座れそうなのは勉強机とパソコン台の周辺のみだな…
この部屋で唯一綺麗だと思えるのはベッドの上だけだ。
『寝る時さ、俺ベッドだけは綺麗に整えるんだよな~昔からwwこだわりってヤツ?www』
いつだったか、
新八がドヤ顔で笑っていたのを思い出す。
……つか、朝起こしに行くと
必ずアイツは枕も掛布団も蹴り落としていて"ベッドメイキング"も糞もないんだけどな…
そのベッドの上には
今さっき新八が脱ぎ捨てた制服がグシャグシャのまま放置されていた。
「……何でアイツはハンガーを使わないんだ…」
足元のタワーやら何やらを崩さない様に気をつけて制服をハンガーに掛けてやり、
クリーニングに出す物だけを手にして、俺は汚い部屋を出た。
…一応言っておく。
一一俺は断じて
アイツの母ではない ←
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