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「キャー!!危なーい!!」
「よっしゃぁ!!俺内野~♪」
子供達はみんな、ドッジボールをして楽しそうに遊んでいる。
今は体育の時間だが、今回は自由ということで、みんなでドッジボールをするとこになった。
「ちょ、由姫せんせー!!」
あ、またトラブったみたい。
私は座りながら子供達の試合を見ていたけれど、生徒の1人に呼ばれたことで重い腰を仕方なく上げた。
「なーに?」
面倒くさい……
「コイツがさぁ、当たったのに外野に出ねーの!!」
またか……
「そういうときはジャンケンで決めなさいって、先生いつも言ってるよね?」
「でも……今のは絶対当たって……」
「はい、ジャンケン、ジャンケン!」
私は子供達の問題を無理矢理解決して、また遠くで腰をおろした。
私は滝本 由姫(たきもと ゆき)、27歳。
ここの小学校の教師を始めて3年目になる。
けれど、私はそもそも子供達はあまり好きじゃない。
じゃあどうして教師なんかしてるのかって聞かれたら……
婚約者がこの学校の偉い人の息子だから。
職がなかなか見つからなかった私を、教師免許を持っていないにも関わらず、コネでここに入れてくれたのだ。
就職氷河期ともいえるこの時代、職に就けたのはとても感謝なんだけれど。
教師という、私に合わない仕事をこれからしていくのかという不安でいっぱいだったのもまた事実。
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