はじまり

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中に入っていたのは、いたってシンプルな便箋一枚。 ちょっとビビってしまったことが恥ずかしい。 けれどそんな呑気な考えは、便箋に書かれた言葉により恐怖へと変わった。 “こんにちは。わたくし、ドッジの世界の支配人をしております、湯川(ユカワ)、と申します。 この手紙が来たあなたラッキーですね。 なんせ、これは外野の世界への招待状なんですから。 あなた方のいる内野の世界、実につまらなく悲しいものでしょう? それも、この外野の世界に来れば一瞬にして変わるに違いありません。 さぁ、一歩踏み出せば世界はバラ色です……” その下には、 “あなたが心から外野の世界に来たいと思ったとき、そこは外野の世界ですよ” と書かれていた。 ゾクッ…… この手紙を読み終えた今、背筋が凍るようだった。 内容自体は意味不明で、何を言ってるかは分からない。 けれど、何故だかこの手紙がよくない事を示しているような気がしてならなかった。
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