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あの日、意味の分からない手紙が届いてから2週間が経った。
私の頭の中からあの日の出来事はほとんど忘れ去られ、いつも通りの平穏でつまらない日々が過ぎていた。
けれど、今日は初めて校長からのお呼び出し。
私、何かしたかな……
私はこんな性格だけれど、表向きはいい顔ばかりしかしていないから、割と教師の間でも評判はいい方だった。
だから、今まで呼び出しなどはされたことがなく、初めての出来事に少し緊張していた。
コンコン……
「どうぞ」
妙な存在感を放つ校長室の扉の向こうからは、私を待っていましたとでもいうように、野太い校長の声が聞こえてきた。
「滝本ですが」
小学校の校長室だというのに妙に重々しい扉を開けると、目の前にはどっしりと座り微笑んでいる校長の姿。
「やぁ、滝本くん。ちょっとそこの椅子に腰を掛けたまえ」
「失礼します」
校長が指差した年季の入った椅子に座ると、軋む音がした。
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