受け継がれし記憶

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私立四季聖(しきせい)学園高等部、購買所の自販機の前に佇む女生徒が一人…。 「…あれ?」 高等部に進学してから一年と二ヶ月、昼休みには売店でレタスサンドを買ってから、側にある自販機でブラックの缶コーヒーを買うのが三谷舞咲(みたにまさき)の日課になっていた。 しかし、今日に限って珍しい事が起こり、自販機の前で首を傾げた。 「…売り切れって…」 参ったと言わんばかりに頭を掻く舞咲。 昼休みという事で食事や飲み物を求めて来た生徒たちがあちらこちらに居る中、いつまでも悩んでいる訳にもいかず… 「どのメーカーも甘いよなぁ…」 小銭を投入し、仕方なく選んだのはいつも買っているコーヒーと同じメーカーの微糖コーヒー…。 ブラックコーヒーが売り切れなのも、昔から甘い物を好まない舞咲が微糖コーヒーを買うのも珍しい出来事。 これ以上珍しい出来事は起こらないで欲しいと思いながら、購買所を後にした…。
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